コラム

新規事業における市場規模の予測 ー フェルミ推定の活用

事業アイデアを実際の新規事業として採用するか否かを判断する際、採算性の観点からもポテンシャル市場を知ることは非常に重要です。しかしながら、新規事業の場合、十分な統計データの揃っていない未知の市場であることが多く、市場規模を推定することは容易ではありません。そこで活用可能な経営ツールとして、今回は「フェルミ推定」という手法を紹介したいと思います。

フェルミ推定(Fermi estimate)とは、実際に調査することが難しい捉えどころのない数・量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算する推定法である。
フェルミ推定で有名な問題は、「アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか?」を推定するというものである。これはエンリコ・フェルミ自身(ノーベル賞受賞物理学者)がシカゴ大学での講義の中で出題したとされている。
この問題に対する回答例を下記にて解説する。

まず以下の条件を仮定する。
1)シカゴの人口は300万人とする。
2)シカゴの1世帯あたりの人数は平均3人とする。
3)ピアノの保有数は10世帯に1台とする。
4)ピアノ1台の調律は年に1回行うものとする。
5)調律師が1日に調律できるピアノは3台とする。
6)調律師は年間に250日働くものとする。

上記仮定を元に次のように推論する。
1)シカゴの世帯数は、300万/3=100万世帯
2)シカゴでのピアノの総数は、100万/10=10万台
3)ピアノの調律は、年間に10万件程度行われる
4)1人のピアノの調律師は1年間に250Ⅹ3=750台を調律する
5)したがって調律師の人数は10万/750=130人程度と推定される

それでは、身近な別の事例を考えてみましょう。

【問題】日本にいる猫の数は何匹か、推定して下さい。

【回答】

(アプローチ)ペットとして飼育している猫の数に絞る。

日本の世帯数 × 猫の所有率 × 1世帯当たりの平均所有数
(日本の世帯数)1世帯平均3人とすると、12000万人÷3人=4000万世帯—-①

(猫の所有率)動物の所有率50% × その中の猫の所有率30%=15%——-②

(1世帯当たりの平均所有数)1匹だけ所有60%、2匹所有30%、3匹所有10%とすると、
1 × 0.6+2 × 0.3+3 × 0.1=1.5(匹)—–③

① × ② × ③ より、
4000万 × 0.15 × 1.5 = 900万(匹)

ちなみに、 統計的には952万匹(2017年調査)いるとのことです。

(上記問題は、「地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」より引用)

筆者の関連サイト

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