ここでは、STEP1, STEP2で行った分析を踏まえて、STP分析という手法を用いて、新規事業の「ターゲット顧客」と「提供価値」を設定します。
すなわちSTP分析では、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つのプロセスを通じて自社が誰に対してどのような価値を提供するのかを明らかにしていきます。
(1) まず、セグメンテーションでは、顧客の特性(B to Bであれば、売上高、従業員数、業種など)に応じて、市場をいくつかのセグメントに細分化していきます。
(2) 次にターゲティングでは、どのセグメントにフォーカスするか、ターゲットセグメントを絞り込みます。
この段階で、対象が「誰」なのか、またそのペルソナ(プロファイル)も明確になってきます。
(3) 最後のプロセスであるポジショニングは、STEP1で産み出した事業の商品・サービスに、他社と差別化するための「提供価値」を付加するための作業となります。下図は、外食産業における「俺のXXX」のポジショニングを表しています。縦軸は、「料理が高級か、カジュアルか」、横軸は「居心地がよいか、よくないか」に設定しています。つまり、「俺のXXX]は、高級食材、一流シェフを使い、原価率の高い高級料理を提供する一方で、居心地に関しては、「立ち食い」という従来と真逆の戦略をとることにより、顧客の滞在時間を短縮し、回転率を上げているわけです。これにより、彼らはリーズナブルな価格で高級料理を提供することに成功しています。ちなみに、「いきなりステーキ」も同様の戦略をとっています。
次に、ファストファッション業界におけるユニクロの事例を取り上げてみたいと思います。下図をご覧ください。縦軸はファッション志向性の高さをとっています。最近のCMでもライフウエアというメッセージを打ち出しているユニクロは実用性を重視しており、チャートの下部に位置します。一方、ファッション性の高いH&M, ZARAは上部に位置することになります。また、横軸は単一ブランドか、複数ブランドかを表示しています。ユニクロは単一ブランドですが、しまむらは製造部門をもたず、海外から多くの商品を買い付けるため、複数ブランドを展開することになります。よって、ユニクロはチャートの右下に位置付けられます。
上記事例からもわかるように、STP分析の成否は、いかにユニークな視点で、縦軸、横軸を設定できるかにかかっています。
今回の内容は以上になります。